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2007年03月12日

心にナイフをしのばせて

心にナイフをしのばせて


最近、読んだ本です。


『心にナイフをしのばせて』 奥野 修司 著







この本を読んでの感想を言うと、



世の中に不条理というのがあるとするなら、



ここに登場する、被害者の家族のことをいうべきなんだろうと思う。




1997年に「酒鬼薔薇」事件が記憶に新しいですが、




しかし、その事件よりも、28年前に同じような殺人が高校の同級生同士で起こった。




少年Aが友人をナイフで殺して、死体をバラバラにするんです。




少年Aは少年院で3年前後、入った後、更正するのですが、




この本は、殺害された家族(父、母、妹)のその後を追いかける内容なんですが、




お母さんは長年、寝込んで、人前に出られなくなる。多重人格や記憶喪失の症状がある。




妹はその母に振り回され、リストカット常習者になる。




そのような崩壊寸前の家族を必死で支えて、無理して早死にする父。




ボクらは、新聞やニュースで事件を見て、その時は怒ったり、同情したりしますが、




時とともに忘れます。




しかし、事件の後も、家族は過酷な人生を送っていることに、




人は関心を払わない。




この事件の不条理さは、これだけではない。




少年Aは出所後、国の支援を受けて、大学に入り、司法試験を受けて、



弁護士になった。そして、現在では、事務所を持つ、町の有力者になっている。




その人は、少年だったため、過去は消され、何も知らない家族がいる。





経済的に潤っているにもかかわらず、




一度も遺族に謝罪もせず、賠償金も支払っていない。




犯罪者の更正ということで、少年Aを定義するなら、弁護士になったんだから、




成功例になるのかもしれない。





遺族に対する仕打ちを見ていると、本当の更正とはなんだろうか?




と考えさせられる。




読み応えのある一冊です。


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Posted by パスター・レイ at 18:30│Comments(2)本の紹介
この記事へのコメント
是非、読んでみたい本です。。
なぜ、この少年Aが弁護士を目指したのか。。
その動機も知りたいですね。。
Posted by tsukaji at 2007年03月13日 01:05
tsukaji氏へ>>

お貸しします。
読んで見てください。
ただ、内容がヘヴィなので、
仕事が落ち着いてから、心にゆとりが出てからいいかなと。。
Posted by パスターレイ at 2007年03月13日 22:08
 
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